ボードゲームの日々

ボードゲームを中心に、いろいろなことを勝手に考えてみる。

【雑記】ワーカープレイスメントというメカニクス

どうも、こすとっくです。

今回は、ボードゲームメカニクスの1つ「ワーカープレイスメント」について、個人的な考えを書いていきたいと思います。

読んでくれた方に少しでも楽しんでもらえれば幸いです。

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目次

1. ワーカープレイスメントとは

2. アクションブロッキングの有無

3. 配置条件、特殊ワーカーについて

4. まとめ

 

1. ワーカープレイスメントとは

ワーカープレイスメントというメカニクスについて、BGGを参考に概ね以下の定義であると考えます(私の拙い英語力に加え、個人的な解釈も含みますので、参考までに)。

(1)アクションドラフトの形式の1つであり、ワーカー(トークン)を置くことでアクションを選択、実する。

(2)アクションは一般に、1人1つずつ順番に選択、実行する。

(3)それぞれのプレイヤーはたいてい一定数のワーカーをもっていて、ゲーム中にその数を増やすことができる場合もある。

(4)先行のプレイヤーによってあるアクションが選択された場合、そのラウンドにおいては、後続のプレイヤーは同じアクションを選択することができない、もしくは、追加のコスト支払いが発生する。→「アクションブロッキング

(5)いくつかのラウンドで構成されたゲームにおいて、各ラウンドのはじめか終わりにワーカーを回収することで、再び各アクションの選択が可能になる。

(参考:Worker Placement | Board Game Mechanic | BoardGameGeek

 

ここで私が重要視したいのは、4点目の「アクションブロッキングについてである。

 

2. アクションブロッキングの有無

ワーカープレイスメントはその言葉の意味どおり、ワーカー(トークン)を置くことでアクションを選択します。しかし、アクション選択の目印としてトークンを置くゲームを、すべてワーカープレイスメント(というメカニクスを有する)ゲームと呼ぶことに、私は少し抵抗があります。

前述のとおり、ベーシックなワーカープレイスメントゲームでは先行プレイヤーによって選択されたアクションは、同一ラウンド内において後続のプレイヤーが選択することはできないというのが基本であり、この「アクションブロッキング」こそが、ワーカープレイスメントの肝であると考えます。

ゲームの中では多様なアクションが提示されていますが、序盤、中盤、終盤の各場面においてプレイヤーがやりたいアクションは概ね重なるようにできており、アクションの取り合いが発生します。特に、コストを支払うことでワーカーを増やすアクションが存在するゲームでは、序盤にワーカーを増やすことは終盤の選択肢拡大、得点獲得において最重要であることが多く、ワーカー獲得アクションやそのための必要コストを得るアクションは序盤に争奪戦が起こります。

このように、みんなが各々にやりたいアクションを選択するために、やりたいこと全部はできないというジレンマこそがワーカープレイスメントのおもしろさだと思います(逆に言えば、やりたいアクションが重ならないようなデザインはワーカープレイスメントというメカニクスからは少し外れている気がします)。そのため、プレイヤーの順番は極めて重要であり、スタートプレイヤーをはじめとした順番を決める要素についても戦略的なやり取りが発生します。

ここで発生する「ブロッキング」はその言葉だけを聞くと相手の邪魔をするような響きを持っていますが、実際は自分の点数を伸ばすための選択により相手に選択に制限を与えるといった印象が強く、明確に邪魔をする、されるといった印象はあまり感じません(ゲームによるかもしれません。個人的な体験談です)。

「アクションブロッキング」はプレイヤーにジレンマを与える非常に優れた要素として、ワーカープレイスメントゲームの中で機能しているのです。

 

3. 配置条件、特殊ワーカーについて

ワーカープレイスメントゲームの中にはワーカーの配置に条件があるものや、ワーカー自体に能力を付加するものなどがあります。

例えば、ミープルに代表されるワーカートークンの色や形が異なり、対応したアクションスペースにしか置けなかったり、配置自体にリソースを必要とするもの(先行プレイヤーの選択したアクションに対して、追加のリソースを支払うことで同一アクションを実行できるもの等)があり、これらは配置条件の付加にあたるかと思います。

「ワイナリーの四季」では、ひとまわり大きなワーカートークンを各プレイヤーが1つずつ所持しており、そのワーカーを使えば、他者がすでに選択したアクションであっても実行できます。また、同拡張においてはさまざまな特殊ワーカーが存在し、すでに配置されているワーカーを弾き飛ばしたり、同じアクションを2回できたりと、ワーカー自体に個性が付与されています。

「カヴェルナ」では、探索アクションにおいてワーカーのレベルが重要であり、探索に行くたびにレベルが上がります。

また、ダイスをワーカーとして利用するゲームも多数あり、出目(大きい目が必ずしもいい目ではない)によって配置制限がかかったり、ダイスを振ることはなく、目の値でワーカーとしての強さを示すものなどがあります。

このような変化は近年のゲームにおいてよく見られ、メカニクスの進化、多様化が進んでいることがわかります。

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4. まとめ

ワーカープレイスメントは、アクションの先どり、ブロッキングによる適度なインタラクションとワーカー増加、強化等による拡大再生産性などをゲームに付与することができる非常に優れたメカニクスだと思います。

また、多くのゲームのフレーバーに合わせやすく、ゲームに加えやすい要素であると思います。

ワーカープレイスメントについて個人的な見解を書き記してきましたが、わりと楽しかったので、他のメカニクスについても機会があれば、考えてみたいなと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。